一昨年の事になりますが、今まで求職者向けに実施されていたトライアル雇用制度が廃止されました。一昨年のできごとをどうして今取り上げるかというと、アベノミクスによる経済効果において日本の雇用の状況が少し上向きになってきたところで、一度改めてこの制度についての良い所を見てみたいと思うからです。
トライアル雇用制度とは、社会経験の無い健常者、障がい者に対して、国が企業に対して社会経験のない若者を雇うことで、国から奨励金が出るという制度です。さらにこの雇用は3ヶ月の試用期間とともに、継続雇用に繋がることもとても多いため、何らかの事情で高校、大学をドロップアウトしてしまった若者にとっては非常にありがたい制度でした。
かくいう私も去年トライアル雇用制度を使って求人を出していたある会社に3ヶ月ほど勤めたことがあります。その期間は試用期間ということで、契約期間終了により自動的に解雇となってしまったのですが、社会経験が全くない若者を前提に雇用するこの制度は素晴らしかったと思います。私はその後に転職ではないですが、再就職することができまして、その時にその会社での業務経験は少しばかり役に立っています。
そして、2011年3月11日に発生した東日本大震災により、復興資金に使うという理由でこのトライアル雇用制度の奨励金が廃止されました。事情は分かるのですが、雇用の問題も深刻化する中、どうにもご都合的にトライアル雇用制度を廃止したようにも思えてしまいます。
肥大化し続ける企業の内部留保。それらの1%だけでも取り崩せば消費税を上げなくてもいいという意見もある中、自分たちの身を削ること無く消費税やたばこ税だけを上げて復興の資金というのは、どこか首を傾げざるを得ない印象を抱きます。